カテゴリー: 浮気問題

  • 浮気を疑ったとき、最初にしてはいけないこと|後悔しないための5つの注意

    気持ちが先に動いたとき、人はいちばん不利な行動をとる

    相手の言動に違和感を覚えたとき、いちばん強く出るのは、「確かめたい」という気持ちである。眠れない。頭から離れない。その気持ちのまま動いた結果、本来なら守られるはずの自分の立場を、自分で弱くしてしまう人は少なくない。

    相手のスマホを勝手に見る。夜中に問い詰める。相手の行き先を追いかける。どれも、気持ちとしては理解できる。しかし、そのどれもが、後の話し合いや、慰謝料・離婚の手続きで、不利に働く可能性がある。

    この記事では、疑いを感じたときに、最初に避けるべき5つの行動と、代わりにやっておきたいことを整理する。

    なお、この記事は、浮気の有無を判断するものではない。違和感は、仕事の疲れや、別の悩みなど、浮気以外の理由で起きることも多い。

    避けるべき5つの行動

    1. 相手のスマホ・パソコン・SNSを、無断で見る(ログインする)

    もっとも多く、もっとも問題になりやすい行動である。

    • 他人のIDとパスワードを使って、SNSやメール、クラウドにログインする行為は、不正アクセス禁止法に触れる可能性がある。夫婦であっても、例外とは限らない。
    • 端末のロックを解除して中身を見る行為も、状況によっては、プライバシーの侵害として、トラブルになる。
    • 見つかったときに、「悪いのは見たあなただ」と、話が逆転する。浮気の事実より、勝手に見たことが、争点になることがある。

    2. 感情のまま、問い詰める

    夜中に長時間問い詰める。大声を出す。物を投げる。相手が追い詰められるほど、真実は出てこない。 相手は、否定するか、証拠を消すか、関係を悪化させるかのどれかになりやすい。

    また、強い言動が、後にモラハラ・DVの主張に使われることもある。

    3. 相手を追いかける・待ち伏せする

    相手の行動を確かめたくて、後をつける、勤務先や自宅の周りで待ち伏せする。これは、自分の身の危険にもなり、相手や相手の周囲とのトラブルにもなる。

    4. SNSで晒す・周囲に言いふらす

    相手や、浮気相手と疑う人の名前を、SNSに書く。共通の知人に、事実が確かでない話を広める。事実であっても、名誉毀損などの問題になり得る。 疑いの段階で行うと、事実と違ったときに、取り返しがつかない。

    5. 子どもを巻き込む

    子どもに、相手の様子を聞き出す。相手の悪口を子どもに言う。子どもに相手のスマホを見せる。子どもは、板挟みになり、深く傷つく。 親権や面会交流を考える場面でも、子どもを巻き込んだ行動は、不利に評価されやすい。

    代わりにやっておきたいこと

    ① まず、安全を確認する

    暴力や、強い恐怖を感じる状況にある場合は、浮気の問題より先に、身の安全を確保する。警察(110番)や、DV相談プラス(0120-279-889、24時間)に連絡してほしい。

    ② 事実だけを、日付と一緒に書き出す

    気づいたことを、推測を混ぜずに、日付・時間・場所・出来事の形で記録する。「帰宅が遅い」ではなく、「10月3日、帰宅が午前0時過ぎだった。理由を聞いたら、仕事と答えた」のように書く。

    この記録は、後で、自分の気持ちを整理するときにも、専門家に相談するときにも役に立つ。

    ③ 一人で結論を出さない

    感情が強いときは、重要な決断(離婚を切り出す、別居する、相手に連絡する)を、数日延ばす。その間に、信頼できる人や、公的な窓口に話してみる。

    ④ お金と生活の備えを確認する

    離婚や別居になる可能性を考えて、家計・財産の全体像を把握しておく。自分が正当に見られる範囲で、通帳・保険・ローンの状況を確認する。→ 離婚前の家計・財産チェック

    ⑤ 専門家・公的窓口に相談する

    法的な見通しは、弁護士や法テラスで確認できる。気持ちの整理には、夫婦・家族のカウンセリングも選択肢になる。

    自分の状況を整理する

    違和感を整理するために、診断を使うこともできる。浮気の有無を判定するものではなく、気になる変化と、冷静に動くための備えを、確認するためのものである。

    → 浮気の疑い 状況整理チェック

    相談先

    • 法テラス(日本司法支援センター): 法的トラブルの相談窓口の案内。
    • 各地の弁護士会の相談窓口: 慰謝料・離婚の見通しの相談。
    • お住まいの自治体の相談窓口: 男女共同参画センター・女性センターなどの相談。
    • 夫婦・家族のカウンセリング(公的・民間)。
    • 身の危険を感じるとき: 警察(110番)、DV相談プラス(0120-279-889)。

    まとめ

    • 疑いを感じたときに、いちばん不利になるのは、気持ちのまま動くことである。
    • 避けるべき行動は、無断でのスマホ・SNSの閲覧、感情的な問い詰め、追いかけ・待ち伏せ、SNSで晒すこと、子どもを巻き込むこと。
    • 代わりに、安全の確認、事実の記録、決断を延ばすこと、お金の備え、専門家への相談を行う。
    • 違和感は、浮気以外の理由でも起きる。判断を急がない。

    ※本記事は一般的な情報であり、個別の事案への助言ではありません。この記事は、監修者の阿部泰尚が内容を確認しています(監修範囲は監修者紹介をご覧ください)。

  • 浮気の慰謝料を請求できる条件と時効|「知った時から3年」の起算点に注意

    慰謝料の請求には、時間の制限がある

    不貞行為(浮気)によって精神的な苦痛を受けたときは、慰謝料を請求できる場合がある。ただし、請求できる期間には限りがある。

    民法724条は、不法行為による損害賠償の請求権は、次の場合に時効によって消滅すると定めている。

    1. 被害者が、損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき。
    2. 不法行為の時から20年間行使しないとき。

    「3年」の起算点は、浮気があった日ではない。「損害と加害者を知った時」である。何を、いつ知ったとみなされるかは、事案によって判断が分かれる。気づいてから、時間が経ってしまっているときは、早めに専門家に相談してほしい。

    この記事では、慰謝料を請求できる条件、請求できる相手、時効、手続きの流れを、条文を基に整理する。

    出典: 民法(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。2026年10月15日確認。

    1. 慰謝料の法的な根拠

    慰謝料の根拠になるのは、不法行為による損害賠償の規定である。

    • 故意または過失によって、他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709条)。
    • この責任を負う者は、財産以外の損害(精神的な苦痛)に対しても、賠償をしなければならない(同710条)。

    不貞行為は、配偶者としての権利(平穏な婚姻生活を送る権利)を侵害する不法行為に当たり得る、と考えられている。

    2. 請求できる条件

    一般に、請求が認められるかどうかは、次の点が検討される。

    • 不貞行為があったか: 一般に、配偶者以外の人と、自由な意思で、性的な関係を持つことを指す。メッセージのやり取りや、食事に行っただけでは、通常は不貞行為とまでは言えないことが多い。
    • 婚姻関係が、すでに破綻していなかったか: 不貞行為の時点で、婚姻関係がすでに破綻していた場合は、慰謝料が認められないことがある。
    • 相手に、故意・過失があったか: たとえば、不貞の相手が、既婚者であることを知らず、知らないことに過失もなかった場合は、責任が認められないことがある。
    • 請求権が時効にかかっていないか: 上記の3年・20年。

    証拠について

    請求する側は、不貞行為を立証する責任を負う。メッセージ、写真、ホテルの領収書、クレジットカードの明細など、不貞の事実を推測させる材料を、積み重ねる必要がある。証拠は、違法な方法で入手しないことが前提である(無断でのスマホ・SNSの閲覧などは、問題になり得る)。

    3. 誰に請求できるのか

    配偶者に請求できる

    不貞行為をした配偶者に、慰謝料を請求できる。

    不貞の相手にも請求できる

    不貞の相手にも、慰謝料を請求できる場合がある。配偶者と不貞の相手は、共同して不法行為をしたと評価されるためである。

    ただし、離婚に至ったことを理由とする慰謝料を、不貞の相手に請求することについては、最高裁判所の判決(平成31年2月19日、平成29年(受)第1456号、民集73巻2号)が、「特段の事情がない限り、請求できない」と判断している。離婚そのものによる精神的な苦痛は、本来、離婚の原因をつくった配偶者との間の問題であるためである。不貞行為そのものによる精神的な苦痛への慰謝料は、不貞の相手に請求できる余地がある。

    どちらに、どの名目で請求するかは、事案によって異なる。弁護士に相談して決めるのが確実である。

    4. 金額はどう決まるのか

    慰謝料の金額に、決まった計算式はない。一般に、次のような事情が、総合的に考慮される。

    • 婚姻期間の長さ
    • 不貞の期間・回数・内容
    • 不貞によって、婚姻関係がどの程度悪化したか(離婚に至ったか、別居・修復か)
    • 子の有無・年齢
    • 不貞をした側の責任の程度(態度、反省、嘘など)
    • 請求する側の事情

    インターネットなどで目にする「相場」は、これらの事情で大きく変わる。自分のケースが、その範囲に入るとは限らない。

    5. 時効を止めたいとき

    時効が迫っているときは、時効の完成を猶予する方法がある。

    • 催告: 内容証明郵便などで請求の意思を示すと、その時から6か月を経過するまで、時効は完成しない(民法150条1項)。ただし、催告を重ねても、再度の催告には、猶予の効力はない(同条2項)。6か月の間に、次の手続きに進む必要がある。
    • 裁判上の請求: 訴えの提起などによって、時効の完成が猶予され、判決が確定すれば、時効が更新される(民法147条)。

    なお、人の生命・身体を害する不法行為の場合は、3年が5年になる(民法724条の2)。浮気による慰謝料は、通常は、この特則の対象とは考えられていない。

    6. 手続きの流れ

    1. 証拠の整理: 事実を、日付ごとに整理する。
    2. 話し合い(示談): 請求の内容・金額・支払い方法を、話し合う。合意したら、示談書にまとめる。
    3. 内容証明郵便: 請求の意思を、書面で示す。時効の猶予の効果もある。
    4. 調停・訴訟: 話し合いがまとまらなければ、裁判所の手続きに進む。離婚を伴う場合は、まず家庭裁判所の調停を経る必要がある(調停前置、家事事件手続法257条)。

    7. 注意しておきたいこと

    • 二重取りはできない。 配偶者と不貞の相手の両方に請求しても、受け取れる総額は、損害の範囲に限られる。
    • 請求が、脅迫や恐喝にならないように注意する。相手を脅して金銭を要求する行為は、犯罪になり得る。
    • 離婚の条件と、慰謝料は、別の問題。 慰謝料・財産分与・養育費は、それぞれ整理して考える。→ 財産分与・年金分割の請求期限(離婚日で2年か5年か)

    相談先

    • 弁護士・法テラス: 請求できるかどうか、金額の見通し、時効の確認。
    • 各地の弁護士会の相談窓口。
    • 家庭裁判所: 調停の手続きの案内。

    まとめ

    • 慰謝料請求の根拠は、不法行為(民法709条・710条)。
    • 時効は、「損害および加害者を知った時」から3年、不法行為の時から20年(同724条)。
    • 配偶者にも、不貞の相手にも請求できる場合がある。ただし、離婚に至ったことを理由とする慰謝料は、不貞の相手には、原則として請求できない(最高裁平成31年2月19日判決)。
    • 金額に決まった式はなく、事情によって大きく変わる。
    • 時効が迫っているときは、催告(6か月の猶予)と、その間の次の手続きが重要。

    ※本記事は一般的な情報であり、個別の事案への助言ではありません。この記事は、監修者の阿部泰尚が内容を確認しています(監修範囲は監修者紹介をご覧ください)。

  • 不貞行為とは?離婚原因になる条件と、証拠の考え方

    浮気があれば、必ず離婚できるわけではない

    相手が浮気をしたなら、離婚したいと思ったとき、離婚が認められるのは当然だ、と考える人は多い。ところが、法律は、そう単純ではない。

    まず、話し合い(協議)で離婚する場合は、離婚の理由を問われない。 夫婦の合意があれば、理由が何であれ、離婚できる。

    しかし、相手が離婚に同意しない場合は、話し合いでは決まらない。そのときに問題になるのが、裁判で離婚が認められる理由(法定の離婚原因)である。

    民法770条は、夫婦の一方が離婚の訴えを提起できる場合を、次の4つに限っている。

    1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
    2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
    4. その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

    不貞な行為は、その筆頭に挙げられている。しかし、不貞な行為があっても、裁判所が離婚を認めないことがある。

    この記事では、不貞行為の意味と、離婚が認められる条件、証拠の考え方を整理する。

    出典: 民法(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)、家事事件手続法(同 https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052)。2026年10月15日確認。

    1. 「不貞な行為」とは

    法律上の「不貞な行為」は、一般に、配偶者のある人が、配偶者以外の人と、自由な意思に基づいて、性的な関係を持つことを指すと考えられている。

    そのため、次のような行為は、それだけでは、通常は不貞行為とまでは評価されないことが多い。

    • 食事や、2人での外出
    • メッセージのやり取り
    • 手をつなぐなどの接触

    ただし、これらが、婚姻関係を深く傷つけた場合には、後述の4号(婚姻を継続し難い重大な事由)として、離婚の理由になる可能性がある。

    2. 離婚の手続きの流れ

    離婚には、3つの段階がある。

    1. 協議離婚: 夫婦の話し合い。合意すれば、離婚届を出して成立する。理由は問われない。
    2. 調停離婚: 話し合いがまとまらないとき、家庭裁判所の調停で、第三者を交えて話し合う。
    3. 裁判離婚: 調停で合意に至らなければ、離婚の訴えを提起する。ここで、民法770条の離婚原因が必要になる。

    離婚の訴えを提起しようとする人は、まず家庭裁判所に調停を申し立てなければならない(調停前置主義、家事事件手続法257条)。いきなり訴訟に進むことは、原則としてできない。

    3. 不貞行為があっても、離婚が認められない場合

    民法770条2項は、1号から3号までの事由(不貞な行為を含む)がある場合であっても、裁判所が、一切の事情を考慮して、婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができると定めている。

    つまり、不貞が認められても、夫婦関係の全体を見て、「結婚を続けるのが相当」と判断されれば、離婚が認められないことがある。

    4. 浮気をした側から、離婚を求めることはできるか

    不貞行為をした側(有責配偶者)から、離婚を求めることについては、判例上、認められにくいとされている。自分で婚姻関係を壊しておいて、離婚を求めることは、相手に対して酷だと考えられるためである。

    もっとも、判例は、一定の条件(たとえば、長期間の別居、未成熟の子がいないこと、離婚によって相手が過酷な状況に置かれないことなど)がそろった場合には、有責配偶者からの離婚請求を認める余地を示している。どのような場合に認められるかは、個別の事案ごとの判断であり、一般論で結論を断定することはできない。

    5. 証拠の考え方

    離婚の訴えや、慰謝料の請求では、不貞行為があったことを、請求する側が示す必要がある。

    証拠になり得るもの(一般論)

    • 不貞をうかがわせるメッセージ・写真・動画
    • ホテルや旅行の領収書・利用履歴
    • クレジットカードの明細、交通系ICの履歴
    • 相手が不貞を認めた発言の記録(録音・書面)

    1つの証拠だけで足りるとは限らない。複数の事実を積み重ねて、不貞があったと合理的に推測できるかが問われる。

    証拠を集めるときの注意

    • 違法な方法で集めない。 他人のIDとパスワードで、アカウントにログインして集めた情報などは、問題になり得る。
    • 自分が正当に見られる範囲から始める。家計の明細、共有のスペース、自分宛てのメッセージなど。
    • 感情のまま問い詰めない。 相手が証拠を消す原因になる。
    • 記録は、事実だけを、日付と一緒に残す。

    証拠として使えるかどうか、足りるかどうかは、専門家の判断が必要である。自分で判断せず、弁護士などに相談することをおすすめする。

    6. 離婚するかどうか決める前に

    不貞が分かった直後は、感情が大きく揺れる。離婚するか、続けるか、決めるのを急ぐ必要はない。次の点を、並行して整理しておくと、どちらの選択になっても、後悔が小さくなる。

    状況の整理には、浮気の疑い 状況整理チェックや、離婚前の家計・財産チェックも使える。

    相談先

    • 弁護士・法テラス: 離婚原因の見通し、証拠の判断、手続き。
    • 家庭裁判所: 調停の手続きの案内。
    • 夫婦・家族のカウンセリング(公的・民間)。
    • 身の危険を感じるとき: 警察(110番)、DV相談プラス(0120-279-889、24時間)。

    まとめ

    • 協議離婚は、理由を問われない。相手が同意しないときは、民法770条の離婚原因が必要になる。
    • 不貞な行為は、離婚原因の1つ。ただし、不貞があっても、裁判所が婚姻の継続を相当と認めれば、離婚が認められないことがある(770条2項)。
    • 離婚の訴えの前に、まず家庭裁判所の調停を経る必要がある(家事事件手続法257条)。
    • 不貞をした側からの離婚請求は、認められにくい。
    • 証拠は、違法な方法で集めず、事実を積み重ねる。判断は専門家に。

    ※本記事は一般的な情報であり、個別の事案への助言ではありません。この記事は、監修者の阿部泰尚が内容を確認しています(監修範囲は監修者紹介をご覧ください)。